伏見・豊川と並ぶ日本三大稲荷として、1200余年の歴史を紡いできた”最上稲荷山教寺”というお寺が岡山市にあります。ここでは古来より水を司る神さま”八大龍王尊”が本殿に祀られています。水墨アーティストOHGUSHI氏はその神の姿を日本の伝統的な書道具を使用しながら、新たな様式美へと更新させる挑戦を行い、「雲龍図/UNRYU-ZU」を完成させました。完成後にOHGUSHI氏から相談を受け、この「雲龍図」の魅力・活動を世界に届けるため、デザインで向き合いました。
本作は、OHGUSHI氏が”最上稲荷山妙教寺”より依頼を受けて、構想から完成までに約6年の歳月を経て公開されました。日本の伝統的な書道具を使用し、約10mに渡り緻密な描写を重ねて描かれています。一方の背景の雲や嵐は自然現象として表現すべく、墨を流動的に滲ませる技法が使われています。それにより、具象と抽象が共存した、雄々しく躍動する作品が完成しました。
OHGUSHI氏は、水を司る神の姿を、人々に恵みを与える「清らかな水」そのもので表現したいと考え、日本の古典的な様式美を踏襲せず、類例のない、新たな様式美へと更新させました。作品右側の嵐は現在の困難な社会情勢(コロナや世界の紛争)を表現し、一方で、作品左側の空白は光を表しています。これは「全人類が明るい未来へ向かうように」という作者の願いを込めています。
本プロジェクトでは「雲龍図」のコンセプトと約10mある作品のスケールをいかに魅力的に伝えるかを考慮し、撮影に挑みました。実際、作品を目の前にすると、襖にダイナミックな構図で描かれた龍と、その細部の緻密さにとても驚かされました。撮影した写真からは「秘的な蒼の世界観」と繊細さ・力強く生き生きと躍動するさまを表現し、これからの新しい歴史を感じさせます。
また本プロジェクトの取り組みは、国際広告賞のニューヨーク ADC賞(ADC 102nd Annual Awards)にて、銀賞・銅賞の二冠を達成。水墨画の技法を継承しつつ、日本の古典的な様式美を更新した斬新な作品として、国際的評価を得ることができました。この襖絵は最上稲荷山妙教寺 にて襖絵は 一年に一期間、永続的に公開予定です。この「雲龍図」が多くの人々に愛され続けて100年、200年と受け継がれることを願っています。
OHGUSHI氏 ウェブサイト↓
https://ohgushi.jp/